上手な伝え方1:サンドイッチ法とは?

指導の場面で、子供や選手に何かを伝える際に「どう伝えたら良いのか?」と悩むことは少なくありません。特に改善が必要な場面では、ただ叱るだけでは相手が萎縮してしまうこともあり、効果的な伝え方が求められます。

そんな時に役立つのが「褒める→叱る→褒めるのサンドイッチ法」です。この方法は、改善を促す「叱る」部分を前後の「褒める」ポイントで挟むことで、相手がポジティブな気持ちで受け入れやすくなるように工夫された伝え方です。

この方法には、次のような3つのステップがあります。

サンドイッチ法の3つのステップ

  1. 褒める(ポジティブなフィードバック)
    まず、相手の努力や成功した部分を具体的に褒めます。どの部分が良かったのかを明確に伝えることで、相手が自己肯定感を持ちやすくなります。「君はこんなことができているんだ」と伝えることで、次に話す内容に対する心の準備もできます。
  2. 叱る(改善ポイントの指摘)
    次に、改善が必要な部分を具体的に伝えます。叱る際には、ただ「それはダメだ」と言うのではなく、「なぜ改善が必要なのか」「どのように改善すべきか」を冷静に説明します。改善点を理解できるように伝えると、相手も「もっと頑張ろう」と思いやすくなります。
  3. 褒める(次のステップの期待を示す)
    最後に、再びポジティブなフィードバックを加え、相手のやる気を引き出します。ここでは、今後の成長に期待することや次に向けての励ましを添えると良いでしょう。「これからもっと良くなるよ」といったポジティブな締めくくりで、相手のモチベーションを高めます。

エピソード:サーブ練習中にふざけ始めた選手への対応

では、実際にサンドイッチ法をどのように活用するのか、具体的なエピソードで見てみましょう。

サーブ練習中にふざけ始めた選手

ある日の練習で、サーブのフォームを集中して練習する時間が設けました。最初は真剣にサーブに取り組んでいた選手が、だんだんと集中が切れてきたのか、友達と笑いながらふざけ始めました。無理な角度でボールを打ったり、試合中には見られないようなふざけたフォームでサーブを打つようになり、練習の目的が達成できていない様子でした。

このままでは練習が効果的にならないと感じたため、一度練習を止めて、その選手を呼び、サンドイッチ法を使って話をすることにしました。


サンドイッチ法の活用

  1. 褒める(最初のポジティブなフィードバック)まずは、選手が最初のうちに見せていた良いプレーについて具体的に褒めました。
    「最初の数球は、すごく集中して取り組んでいたね。フォームもきれいだったし、サーブにしっかりとした安定感が見えてきていたよ。」と伝えることで、選手が自分の努力や成果に自信を持てるようにしました。このように具体的に褒めることで、次の話も前向きに受け入れやすくなります。
  2. 叱る(改善ポイントの指摘)次に、ふざけてしまったことに対して冷静に改善点を伝えました。ただ「ふざけるな」と叱るのではなく、なぜその行動が問題なのかをしっかりと説明します。
    「途中から友達とふざけ始めてしまったね。サーブは試合の中で特に重要なショットだから、練習中もしっかり集中することが大事なんだ。集中して練習しないと、本番で自信を持ってサーブを打つのが難しくなってしまうんだよ。」と、サーブの重要性と練習に集中する理由を伝えました。

    また、「次にどのように改善すべきか」も明確にしました。例えば、「サーブを打つときには、リズムとフォームに意識を集中させて、試合と同じ気持ちで一球一球に取り組もう」と具体的な改善方法を伝えることで、選手は「次にどうしたら良いか」を理解しやすくなります。

  3. 褒める(次のステップの期待を示す)最後に、今後の成長に向けた期待と励ましの言葉を伝えました。
    「君には安定したサーブを打てる力があるから、集中して練習すれば試合で相手にプレッシャーを与えられるようになるよ。今日はそのための一歩だし、この調子でしっかり取り組んでいこう!」と、選手が自分のポテンシャルに自信を持てるようにしつつ、次のステップに向けた期待を込めました。

    最後にポジティブなフィードバックを加えることで、選手は「もっと真剣にやってみよう」という気持ちで練習に戻ることができました。


結果と効果

このサンドイッチ法で話をしたことで、選手は再び集中してサーブ練習に取り組み、最初のふざけた態度は見られなくなりました。フォームも安定し、明らかに意識を高めて練習に取り組む姿勢が見えました。ただ叱るだけではなく、褒めることで相手が受け入れやすくなり、改善の意欲も高まるのを感じました。


まとめ:日々の指導にサンドイッチ法を取り入れるメリット

サンドイッチ法を使うことで、指導者は選手のやる気を引き出しつつ、改善が必要な点も効果的に伝えられるようになります。練習の中で選手がふざけてしまったり、集中力を欠いてしまった時には、この方法を活用してみてください。まずはできている部分を褒め、改善すべき点を具体的に伝え、最後に期待を込めたポジティブな言葉で締めくくることで、選手が前向きな気持ちで次のステップに取り組む姿勢を引き出せます。

サンドイッチ法は、単に技術を教えるだけでなく、選手が自分の成長を実感し、次の目標に向けてモチベーションを高める手助けをしてくれる効果的な方法です。指導者として、日々の指導にこのアプローチを取り入れ、選手の成長をサポートしていきましょう。

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